|
しっそく 【失速】
カテゴリ:飛行姿勢・状態
迎え角を大きくしていった時に揚力が低下してしまう現象。英語名で「ストール」と呼ばれることも多い。
字の通り飛行速度が失われるわけではない。翼型の周りを沿うように流れる空気が迎え角を取り過ぎることで剥離してしまうことが原因で起こる。失速は墜落に直結する危険な減少で、人力飛行機においても頭上げになりすぎないよう操縦に気を使う必要がある。
|
|
しっそくかく 【失速角】
カテゴリ:航空力学
失速を引き起こす迎角のこと。「失速迎え角」ともいう。この迎え角を超えると翼面に沿うように流れていた気流が剥離を始める。それに伴い、失速角で揚力係数は最大となり、これ以降減少を始める。 |
|
しっそくむかえかく 【失速迎え角】
カテゴリ:構造設計
→上記「失速角」を参照
|
|
ジャンプしけん 【−試験】
カテゴリ:各種試験
テストフライトの形態のひとつ。飛行機をわずかに浮上させ数m飛行し、必要に応じて繰り返す。これが上手くいけば、本格的な定常飛行に向けてテストフライトを行う。
|
|
しゅけた 【主桁】
カテゴリ:飛行機の部分名称
「メインスパー」とも呼ばれる。主翼が2本桁の飛行機において太く、中心的な役割を果たす桁のこと。主翼の構造を決定し、主翼に掛かる揚力や自重の大半を負担する。
主桁には人力飛行機の中でも大きな負荷が掛かるが、機体重量の中で大きなウェイトを占める部分でもあるため、軽量かつ高剛性・高強度なCFRPパイプによって作られることが圧倒的に多い。主桁に関しては荷重試験などを行い、厳密に評価する必要がある。
|
|
しゅよく 【主翼】
カテゴリ:飛行機の部分名称
飛行機の中で最も大きく、揚力の大半を発生させる翼のこと。一般的な飛行機では、この主翼にフラップやエルロンが設置される。
主翼の上下の取り付け位置によって「高翼機」「低翼機」の分類をすることができる。
また、主翼を上下2段に取り付けた「複葉機」、前後に2枚取り付けた「タンデム翼機」という形態も存在する。
人力飛行機の主翼は極めて遅い飛行速度で揚力を得るために、全幅25mから35m程度という長いスパンの主翼を持っている。主翼桁に複合素材を使用していることと、主翼自体が軽いことから、飛行時に主翼は大きくたわむ。このたわみは上半角の役割を果たし、飛行機自体の復元力(左右の安定性)を高めている。
|
|
じゅうてんざい 【充填剤】
カテゴリ:接着剤・溶剤
「発泡ウレタン」などのことを指す。ホームセンターなどでスプレー缶として売られており、パイプなど任意の場所に注入すると液体状のウレタンで満たされ、数分間放置で固まる。固まった後は発泡スチロールのようになるため、パイプ接合時に接着面積を増やしたりするのに用いる。 |
|
じゅんこうそくど 【巡航速度】
カテゴリ:飛行姿勢・状態
巡航速度(cruise speed)とは飛行機が定常飛行する際の速度のこと。
|
|
しょうこうけい 【昇降計】
カテゴリ:計器類
飛行機の現時点での上昇・降下率を表示する計器。高度計の微分データを表示する。上昇・降下の度合いだけでなく、水平飛行をしているかを判断する際にも用いる。
人力飛行機では搭載されないことがほとんど。 |
|
しょうこうだ 【昇降舵】
カテゴリ:飛行機の部分名称
「エレベータ」ともいい、飛行機の上下の傾き(ピッチ)を操作するための操舵装置。
上昇、下降時に使用する。
大型の航空機では水平尾翼の後縁部に取り付けられ、上下するように動作する。
人力飛行機においては、ほぼ全ての飛行機に搭載され、水平尾翼全体が昇降舵として上下する(フライング・テール方式)スタイルが主流となっている。
エルロンを操作するためには、操縦桿を前後に傾ける。
例えば、上昇する場合は操縦桿を点前に引く。すると、昇降舵は下がり、尾翼の下向きの揚力が増加し、機首が上がることでが機体は上昇する。
近年では、フライ・バイ・ワイヤによって、昇降舵を電気的に操作するチームも増えてきた。 |
|
しんくうぬき 【真空抜き】
カテゴリ:作業工程
真空ポンプと真空パック、シーラントテープ(シールテープ)によって、部材に一定の圧力を掛ける作業。「真空引き」とも呼ぶ。代表的な例として、炭素繊維クロス(生クロス)にエポキシ樹脂を浸み込ませた後、金型などに積層して真空抜きを行うと成形することができる。真空抜きによって圧力をかけることで、積層した材料の隙間や空洞を極限まで減らすことと、余計な樹脂を吸い出すことが最大の目的である。 |
|
しんくうびき 【真空引き】
カテゴリ:作業工程
→上記「真空抜き」を参照 |
|
しんくうポンプ 【真空−】
カテゴリ:機器
真空抜きをするための機械。真空状態を作れるケース(真空パックとシーラントテープなど)にホースで接続し、中の空気を吸い出すことで真空状態を作ることができる。動作に油を使用するウェットポンプと油を必要としないドライポンプに大別される。 |
|
じんりきひこうき 【人力飛行機】
カテゴリ:飛行機の形態
人の力だけで飛行する飛行機のこと。浮上と推進が人力で行われれば良いため、操舵装置に電気モータ等を使う場合がある。
人力飛行機には大きく分けて2タイプあり、パイロットがペダルを漕ぐことでプロペラを回し、飛び続ける「人力プロペラ機」と一定高度から助走をつけて飛び出し、空気力だけで滑空する「滑空機」がある。「人力プロペラ機」は理論上、機体が破損しなければパイロットの力が続く限り飛行できるが、滑空機は上昇気流などに乗らない限り、自重で降下し続ける。
本来、飛行機は金属でできており、強力なエンジンで推進力を得ることで飛行している。しかし、人力飛行機は人の筋力だけで飛ばなければならないため、空力性能を極限まで引き出せる細長い翼と、極限まで無駄を省き軽量化された機体で制作される。近年では構造材に軽量かつ高強度なCFRPが使われるようになり、飛行性能は飛躍的に向上した。
人力飛行機は世界中で制作されており、2010年現在ではMIT(マサチューセッツ工科大学)とNASA(アメリカ航空宇宙局)が共同開発した「ダイダロス'88号」が1988年、ギリシャで直線飛行距離115.11kmのギネス記録を樹立している。日本においては日大理工学部が駿河湾で達成した49.17kmが日本記録になっている。
日本では、人力飛行機の競技会として毎年夏に琵琶湖で開催される「鳥人間コンテスト選手権大会」があり、この大会によって世界有数ともいえるほど人力飛行機の制作が盛んに行われている。 |
|
じんりきプロペラき 【人力−機】
カテゴリ:飛行機の形態
人力飛行機の中でもパイロットがペダルを漕ぐことでプロペラを回し、飛び続けることができる飛行機のこと。
このようなタイプの飛行機は古来から発想自体はあったが、世界で初めて実現したのは1961年、イギリスの「サムパック」号である。日本においては1966年に日大の「リネット」が日本初飛行を達成した。
鳥人間コンテストには人力プロペラ機の部門として飛行距離を競う「人力飛行機ディスタンス部門」と一定距離の飛行時間を競う「人力飛行機タイムトライアル部門」の2つがある。 |
|
じんりきプロペラきぶもん 【人力−機部門】
カテゴリ:鳥コン用語
1986年の鳥人間コンテスト第10回大会からスタートした部門。それまでは滑空機を前提とした大会運営だったが、人力プロペラ機が台頭するようになってきたため設置された。
1998年にはチームエアロセプシーが初の対岸到達、2003年には日大理工学部航空研究会が南方限界点の琵琶湖大橋に到達した。
2006年、タイムトライアル部門がスタートしたのに伴い、人力プロペラ機部門の内容は「人力プロペラ機ディスタンス部門」に継承された。 |
|
じんりきプロペラきタイムトライアルぶもん 【人力−機−部門】
カテゴリ:鳥コン用語
2006年の鳥人間コンテスト第30回記念大会からスタートした部門。「TT」とも呼ばれる。それまでは人力プロペラ機も滑空機も飛行距離を競う部門しかなかったが、タイムトライアル部門の登場により人力プロペラ機のスピードと旋回性能(操縦性)もクローズアップされるようになった。2008年の第32回大会までは、1km先のコーンを180度旋回し、往復2kmの飛行時間を競っていた。しかし、完走できないチームが続出したため、競技性を高めるべく2010年の第33回大会から折り返しコーンが500m地点になり、往復1kmの飛行時間を競うことになった。 |
|
じんりきプロペラきディスタンスぶもん 【人力−機−部門】
カテゴリ:鳥コン用語
2006年の鳥人間コンテスト第30回記念大会からスタートした部門。「DST」とも呼ばれる。それまでは人力プロペラ機においては飛行距離を競う部門しか存在しなかったが、2006年に飛行時間を競うタイムトライアル部門がスタートしたために区別のため設けられた。内容としては2005年までの「人力プロペラ機部門」を継承している。
人力飛行機の飛行性能が飛躍的に向上し、琵琶湖の広さでは限界が生じるようになったため、2004年に18km地点での折り返しルールを制定。2010年には20km地点に改訂されている。
|
|
じんりきヘリコプター 【人力−】
カテゴリ:飛行機の形態
人力飛行機と同様に、人間の筋力のみで浮上するヘリコプター(回転翼機)のこと。ヘリコプターは安定姿勢を取ることが飛行機よりも困難であるため、人力飛行機ほど開発が進んでいないのが現状である。
有名なものとしては日大の4枚羽根人力ヘリコプター「YURI T」がある。 |
|
じんりきヘリコプターぶもん 【人力−部門】
カテゴリ:鳥コン用語
2001年の第25回大会から2003年の第27回大会までわずか3回行われた部門。文字通り、人力ヘリコプターを対象にした部門で、飛行距離ではなく滞空時間を競った。プラットホーム上での離陸に安全性が確保できないという理由から短命に終わった。
|
|